THEME
色覚特性のある人にも色を選びやすいクレヨン
POINT
色の配合・明るさ・光沢による判別しやすさの検証
AWARD
市最優秀賞・県優秀賞
この研究について
小学校5年生の時に行った自由研究です。先天性色覚特性(D型)のある自分自身の見え方をもとに、 色覚特性のある人でも色を選びやすいクレヨンを作れないか考えました。
この研究では、次のことに取り組みました。
- 余っていたクレヨンの色名と、自分に見えている色名が一致するか調べる
- 判別しづらい色を、配合・濃さ・光沢で見分けやすくできるか検証する
- 色覚特性のある人でも使いやすいクレヨンを試作し、改良する
さらに、家に眠っていた古いクレヨンを再利用することで、使われなくなったものをもう一度役立てることにも挑戦しました。
研究のきっかけ
この研究を始めたきっかけは、家の片づけ中に見つけた古いクレヨンでした。 妹と一緒に色を見ていた時、同じクレヨンなのに、色の見え方や感じ方が違うことに改めて気づきました。
妹は一般的な色覚(C型)ですが、ぼくは先天性色覚特性(D型)があります。 赤と緑、赤と茶色、紫と紺などの区別が難しいことがあり、LEDではない信号や肉の焼き加減なども判別しづらいことがあります。 絵の具やクレヨンの色も選びづらかったため、小さいころから色をぬることはあまり好きではありませんでした。
もし色覚特性に配慮したクレヨンがあれば、色覚特性のある子どもでも色ぬりをもっと楽しめるかもしれません。 そう思い、余ったクレヨンの再利用も兼ねて、カラーユニバーサルデザインクレヨンを作ることにしました。
色覚特性とCUD
先天性色覚特性は、遺伝によって生まれつき色の見え方に違いがある特性です。 色覚特性にはP型、D型、T型、A型などがあり、ぼくは「D型」と呼ばれるタイプです。 P型とD型は見え方が似ていて、特に赤と緑の判別が難しいと言われています。
色覚の違いに関係なく、できるだけ多くの人に伝わりやすい色づかいを工夫する考え方を、 カラーユニバーサルデザイン(CUD)といいます。道路標識や公共施設のマークなどには広がってきていますが、 調べた当時、クレヨンや色鉛筆、絵の具では色覚特性に配慮した商品をほとんど見つけることができませんでした。
調査して分かったこと
最初に、余っていたクレヨンの色名と、D型のぼくに見えている色名がどれくらい一致するかを調べました。 その結果、正しく判別できる色と、まちがえやすい色があることが分かりました。
- 判別しやすかった色:黄色、青、緑、黒
- 判別しづらかった色:ピンク、赤、紫、黄緑、茶色系
- 赤が茶色っぽく見える
- 紫と紺の違いが分かりづらい
- ピンクが灰色っぽく見える
ぼくの見え方には、ラメやきらきら感、光沢がある方が分かりやすいこと、 色が濃い方が分かりやすいこと、一番きれいに見える色は黄色であること、という特徴がありました。 そこで、判別しづらかったピンク、赤、むらさき、黄緑、黄土色、こげ茶を中心に改良することにしました。
クレヨン作り
作り方は、サクラクレパスさんが公開しているマーブルクレヨンの作り方を参考にしました。 クレヨンを適当な大きさに折ってシリコン型に入れ、500ワットの電子レンジで7〜8分ほど温めます。 溶けたら取り出し、光沢を出すための化粧品を加えて混ぜ、冷蔵庫で約1時間冷やして固めました。
- 古いクレヨン
- シリコン型
- 電子レンジ
- 化粧品(光沢を出すため)
むらさきは紺色にまちがえないよう赤を多めにし、黄緑は自分に見えやすい黄色を多めにしました。 黄土色は白・うすだいだい・オレンジを混ぜ、こげ茶は色を濃くするために黒を足しました。
実験と改良
1回目の実験
ピンク、赤、黄緑、こげ茶は、ぼくと妹の見え方が一致し、作ろうとした色として判別できたので成功しました。 一方で、むらさきは濃すぎ、黄土色は明るすぎました。また、クレヨンが薄く、型から取り出す時に割れやすいという課題も見つかりました。
2回目の実験
割れにくくするためにクレヨンの量を増やし、むらさきには白を足し、黄土色には茶色を追加しました。 光沢がない場合も調べるため、この回では化粧品を使いませんでした。ピンク、赤、こげ茶は成功しましたが、 光沢があった方がより分かりやすいと感じました。黄緑は他の色と混ざってしまい、むらさきも自分にはこげ茶に見えたため失敗でした。
3回目の実験
2回目と同じ配合で、再び化粧品を加えて作りました。 その結果、すべての色で、ぼくと妹の見え方が一致し、作ろうとした色としても判別できました。 特にむらさきは、同じ配合でも光沢を入れたことで見分けられるようになりました。
完成した「カラーユニバーサルデザインクレヨン」
D型のぼくが判別しづらかった6色を見分けやすくすることができました。 さらに、問題なく判別できる他の色も同じシリコン型で固めなおし、12色のカラーユニバーサルデザインクレヨンを作りました。 似た色を隣に置くと選びづらいため、色覚特性のある自分が判別しやすいと感じる順番に並べています。
夏休みの自由研究では、ハート型のクレヨンを作ったところで実験を終えました。 しかし自由研究の発表会に向けて、より実用的な形のクレヨンを作り直しました。
夏休みに使った家に眠っていたクレヨンは、実験の結果かなり数が減っていたため、 新たにクレヨンと化粧品を買い、成功した時と同じ配合で製作しました。 化粧品は同じものが手に入らないものもありましたが、できるだけ似たものを探しました。
クレヨン型は、なるべく太くて大きい方が色を判別しやすいと分かったため、この形を選びました。 ハート型よりずっと書きやすく、かなり実用的な仕上がりになったと思います。
この研究を通して感じたこと
実際にこういった色覚特性のある人向けのクレヨンがあれば、 色覚特性のある子どもたちの色ぬりの助けになると思います。 最近では、クレヨン本体にはっきり色の名前を書くなどの工夫もあるようですが、 クレヨンはまだ文字の読めない小さな子どもも使います。
色覚特性があることで不便を感じる場面はいろいろあります。 だからこそ、世の中にもっとカラーユニバーサルデザインのものが増えてほしいです。
このクレヨンは、自分の見え方をもとに作ったものです。 今後は、他の型の色覚特性の人にはどう見えるのか、実際に使いやすい形にできるのか、 教材や文房具に応用できないかなどについても考えていきたいと思っています。
関連資料
最後に
色覚特性があることで、不便を感じる場面は少なくありません。 でも、「見え方の違い」を知り、工夫することで、もっと多くの人が使いやすいものを作れると思っています。
この研究が、カラーユニバーサルデザインについて知ってもらうきっかけになればうれしいです。