THEME
色覚特性があっても肉の焼き加減を判別できる方法
POINT
光の種類・自然光・光の拡散による見え方の変化
AWARD
市 優秀賞
この研究について
小学校6年生の時に行った研究です。色覚特性のある自分にとって、 「肉の焼き加減が分からない」という問題は以前から身近な悩みでした。
この研究では、次のことに注目しました。
- 光の種類によって色の見え方が変わるか
- 光を拡散すると色を判別しやすくなるか
- 色覚特性があっても肉の焼き加減を判別できる方法はあるか
研究のきっかけ
ぼくは先天性色覚特性(D型)があります。赤と緑系の判別が難しく、信号、色分けされた図、 クレヨン、肉の焼き加減などで困ることがあります。
特に焼肉では、「生肉なのか、焼けているのか」の区別が難しく、 一人で焼肉をすることができませんでした。
そう考えたことが、この研究のスタートです。
第一次 一人焼肉計画
最初は、自分の見え方だけを頼りに、牛肉、にんじん、ピーマン、エリンギを焼きました。 自分では「焼けた」と思っていました。
一般的な色覚の妹に確認してもらうと、まだ生だったそうです。 実際に食べてみても、野菜は硬く、生焼けでした。
「光」を使えば判別できるのでは?
以前、「カラーユニバーサルデザインクレヨン」の研究で、光沢があると色を判別しやすくなるという経験をしていました。 そこで今回は、「光を使えば、色の判別が改善するのでは?」という仮説を立てました。
まず、普通の懐中電灯を使いました。この懐中電灯を「αライト」と名付けました。 いきなり焼肉で試すのではなく、絵の具や色分け問題集など、自分が色の判別を苦手とするものでも実験しました。
- 一部の色は判別しやすくなった
- でも完全ではなかった
- 焼肉では、まだ生肉を焼けたと思ってしまった
αライトの焼肉実験は失敗でした。
自然光が見やすいことを発見
さらに調べるため、100色折り紙を使って色当て実験を行いました。 すると、昼白色ライト、電球色ライト、自然光で正解率に大きな違いが出ました。
- 昼白色ライト:正解率 0%
- 電球色ライト:正解率 33%
- 自然光:正解率 83%
この実験では、赤・青・黄色のような有名な色だけでなく、さんご色、うす茶色、若草色のように、 普段あまり聞かない色名も含まれていました。 そのため、「色名を覚えているか」ではなく、実際にその色をどう見分けられるかを調べる実験になりました。
βライトの開発
自然光は、さまざまな方向から広がる光です。 そこで、懐中電灯の光を拡散させることにしました。
懐紙、半紙、さまざまな紙などを使い、どれが最も光を拡散するか調べました。 その結果、「しわを付けた懐紙」が最も光を拡散しました。
そこで、懐中電灯としわ付き懐紙を組み合わせた「βライト」を作りました。 絵の具や問題集ではかなり色を判別しやすくなりましたが、焼肉ではまだ失敗しました。
γライトの開発
次は、ビニール袋やプラスチック素材などを追加し、さらに光を拡散することを試しました。 その結果、最も効果が高かったのはビニール袋でした。
こうして、懐紙とビニール袋を組み合わせた「γライト」が完成しました。
ついに成功
γライトを使って再び焼肉に挑戦しました。すると、全て正しく焼くことができました。 一人焼肉計画、成功です。
この研究で分かったこと
今回の研究では、光を当てること、光を拡散すること、自然光に近づけることで、 色覚特性がある自分でも色を判別しやすくなる可能性があることが分かりました。
- 光の種類によって、色の見え方は変わる
- 自然光に近い光は、自分にとって見分けやすかった
- 光を拡散すると、判別しやすさが上がる可能性がある
- 環境を工夫すれば、生活の困りごとを減らせる可能性がある
現在の視点から
この研究は小学校6年生の時のものですが、現在も、色覚特性、光、カラーユニバーサルデザイン、 「見え方」の違いについて関心を持って活動しています。
この研究を通して、その考え方の大切さを感じました。
関連資料
最後に
色覚特性による困りごとは、「本人が我慢するしかない」と思われることも少なくありません。
でも、光、色、デザイン、環境を少し工夫することで、生活しやすくなる可能性があります。
この研究が、色覚特性やカラーユニバーサルデザインについて考えるきっかけになれば嬉しいです。